For the Birds

アイルランドで詩を書く人のブログ

褒められもせず、苦にもされず

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庭には毎日、6種類以上の鳥がやってくる。

冬は、野菜が育たなくて物淋しい庭も、鳥たちのおかげでずいぶん華やぐ。

ヨーロッパコマドリは、毎日同じ場所でポーズをする。毎日変わらない角度で、じぃっと壁の上でポーズをとったあとに、ヒマワリの種に食らいつく。毎日、毎日、ただひたすら同じことを繰り返しているだけなのに、なぜか見ているだけで癒される。

 

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PAN PANというアイルランドの劇団のメンターシップ・プログラムに私の企画案が採用された。英国にシェフィールドに拠点を置く劇団の芸術監督さんと半年間かけて作品を掘り下げていくという、なんとも素敵なプログラムである。色々な人にお世話になりながら、コロナが始まって以来、地味に書き溜めていたものを英訳して提出したのだが、まさか通るとは思っておらず、最初は信じられなくて、「あ、人違いです、ごめんなさい」というメールが来るのを真剣にひたすら待っていた。

 

しかし、1週間待ってもそんなメールは来なかった。そこでようやく事実だと受け止めた。

 

嬉しい知らせを信じる能力が乏しい。嬉しい知らせには、多くの場合、大きな責任が伴うからかもしれない。

ただ、通っても通らなくても書き続けるつもりだった。考えてみれば、だから通ったのかもしれない。

 

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PAN PANはベケット作品などを上演する、アバンギャルドな老舗劇団。コンテンポラリー・シアターを得意としている。書きながら、普通の戯曲でもない、長編詩でもない、そのうえ、フィジカル。この作品は一体、なんなのだろう、と頭を抱えていただけに、今回の採用を機に作品に居場所ができたようで、嬉しかった。たいした経歴もない、どこの馬の骨とも分からない日本人の私を、よく採用してくれたなと思う。まだアイルランドに引っ越して二年だが、私はこの国に、いろいろと恩返しをしなければならないとすでに感じている。

 

基本的にフレンドリーで愛嬌のあるアイルランド人だが、人種のるつぼの中で生きているアメリカ人に比べれば、やはり警戒心を感じる。そんな中、ただ表向きをよく見せるのではなく、淡々と、自分が今できることを行動で示しながら信頼を得ていく大切さを学んでいるのである。

 

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もうすぐ2021年も終わり。今年は、あきらめなかったからこそたどり着いた風景に数多く出会った。あきらめないでよかったと、何度も思った。

とにかく、何を誰に言われようと、やり続ける。昔は、人に何か言われただけですぐにへこたれ、褒められれば、すぐに自惚れた。

一日一歩進めば、一か月で三十歩進める。そんな単純計算が、この年になってようやくできるようになった。

 

毎日、毎日、同じ時間に鳴き、同じ時間にヒマワリの種を食べにくる小鳥たちを見ていて癒されるのは、それが本来あるべき姿だからなのかもしれない。

 

まさに、「褒められもせず、苦にもされず」……である。

 

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