For the Birds

アイルランドで詩を書く人のブログ

2024-01-01から1年間の記事一覧

生牡蠣のような心

子どもの悪態にまで傷ついてしまう/頼りない生蠣のような感受性/それらを鍛える必要は少しもなかったのだな 茨木のり子 ひょんなことから、復学することになった。 アイルランド国立大学コーク校UCCで開催される、芸術の世界では比較的新しいウェルビーン…

節度はわきまえない

「節度をわきまえるなんて、見せかけでしかない。 節度をわきまえる人は、壁にぶち当たった途端、すぐに節度を失う。 ストリッパーが身にまとう布切れのごとく、即座に剥がれ落ちるもの。 それよりも私は謙虚でありたい。謙虚さは内から湧き出るもの」 マヤ…

小鳥の手は羽である

アイルランドの劇場では、スタンディングオーベーションが起こる頻度が高い。そんなに良かっただろうか…と首をかしげてしまうような舞台でも、けっこうな確率でスタンディングが起こる。先日ダブリンのゲート劇場で見た作品でも、案の定、観客はカーテンコー…

作品は、いつ「完成」するのか

「詩が完成することはない。途中で断念しただけのこと。」 ポール・ヴァレリー 書き溜めていた詩が少しずつこちらの文芸誌に取り上げられるようになったのだが、出版前にゲラをいただく段階で、「修正があれば、お申し付けください」と出版社からメールが来…

隙間

クロウドリとコマドリが真夜中に急に歌いだすことがある。 都会の小鳥たちにたまに見受けられる現象なのだそうだが、そうやって動物たちも人間に似てきてしまうのだろうか。 しかし、このような夜想曲が鳴り響いた次の日の朝は、妙なことに、良い知らせが届…