maimaiomaiのブログ

アイルランドと日本の狭間で 言葉を解き、紡ぎなおす者として

「その音」が聴こえる方へ

 

数か月前に、ある不思議な夢を見た。

言葉に表しようのない、美しい、まっすぐな直線を描くような音が聴こえてきて、自分の心がどうしようもなく「そっち」へ惹かれるのだった。

 

 

 

ただそれだけなのだが、単純に、自分がなぜ「表現」というものをやっているかというと、

どうしようもなく「そっち」へ向かう心が、魂があるからなのかもしれないな、と

 

夢から覚めてもまだ耳の中でその「音」が鳴りやまない早朝に、布団の中で漠然と理解した。

 

 

 

作品選びの時は、そういう決め方をしたいと思っている。

後付けで、理詰めで自分を説得するようでは、あとあと後悔するだけなのであり、

やはり作品というのは、心で決めたほうがいい。

翻訳であれ、なんの表現であれ、

その地道で正直な作業が積み重なって、「個性」が自ずと姿を表すのだと思う。

 

 

4月に上演させていただく「Necessary Targetsボスニアに咲く花)」も、そんな作品の一つだった。

演技の恩師に教えてもらった次の日から、何も考えずに咄嗟に翻訳し始めたのが、ちょうど56年前のこと。頭が働く前に身体がおのずと動いてしまう——、そういう瞬間は、何よりの幸せなのかもしれない。

 

 

白とも黒とも言い切れない、作者の「揺れる」ような葛藤が手に取るように分かる。

茨木のり子さんの言う、「ふるえる弱いアンテナ」のように、ふるふると小刻みに揺れている。

私にとって色気とは、肌を敢えて露出するような浅はかなものではなく、

このような、人間の奥底から人知れずこぼれ出てしまうようなもの。

 

この作品を通して、あらゆる素敵な女性(女優さんたち)と出会わせていただいた。

それこそが、私にとって何よりの宝物である。

公演の4月は、さらに、この作品を通して多くの人達(女性に限らず)にお会いできることを願って――

 

 

Ova9 第1回公演 Necessary Targets ~ボスニアに咲く花~

原作 イヴ・エンスラー

 

「何千マイルも離れた場所に住む人々の苦しみに、共感できるだろうか」

(イントロダクションより抜粋)

 

内戦を生き抜いた女性たちを作家イヴ・エンスラーが自らインタビューし、

その証言を基に書き上げた、自国「アメリカ」を問う物語。

翻訳 石川麻衣 演出 若尾明子(松熊つる松/劇団青年座)

 

出演 

辻 しのぶ(ecru)

渋谷 はるか(文学座)

小谷 佳加(劇団文化座)

山上 優(RiZO CORPORATION )

ひがし 由貴(劇団青年座)

上野 裕子(劇団1980)

磯部 莉菜子(エンパシィ)

 

美術 根来美咲(劇団青年座

照明 中川隆一

音響 斎藤美佐男

舞台監督 大河原敦

衣装 アトリエOva

著作権 Lotus Productions, Inc.

企画・製作 Ova9

2019年4月24日(水)~30日(火)

荻窪・オメガ東京

24(水) 19:00

25(木) 14:00/19:00

26(金) 19:00 27(土) 14:00/19:00

28(日) 15:00

29(月祝) 15:00

30(火) 14:00 (受付1時間前開始 / 開場30分前)

全席自由 前売 4000円  当日4500円

予約・お問い合わせ ova9actress@gmail.com Quartet Online予約フォーム  https://www.quartet-online.net/ticket/ova9?o=c00001e

 

リーディングの時の写真より

Photo by Yukiko Shimizu

 

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